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スタッフブログ[No.17] 「真面目な雑学~殺虫剤が効かない理由~」
こんにちは、齊藤 怜志です。
今回は
ちょいと真面目に
雑学の話をします。
さて、
このブログを見てくださってる皆さん、
害虫と言えば
何を思い浮かべますか?
家ならゴキブリやムカデなど、
住宅地周辺や農地ならカメムシヤアオムシなど、、、、
場所を問わなければ、
かなり多くの種の名前が挙がると思います。
じゃあ今から
僕が害虫の何について話したいかっていうと、、、、
それは、
『土壌を中心に生活している昆虫の薬剤耐性』
についてです。
さて、
皆さんは
害虫の体内の仕組みを
ご存じでしょうか?
体のつくりという点では
小学校理科で学習すると思います。
しかし、
昆虫などの臓器の仕組みや役割を
理解する機会は多いわけではない、と思います。
そのため、
「昆虫の体内」
「土壌の薬物耐性を持つ細菌」
「殺虫剤と害虫がイタチごっこな理由」
の話を順に進めて
少し生物の生理や生態への興味を
持ってもらえるような話をしようと思います。
(この雑学を説明する前提として、
➀害虫が土壌や土壌中を生活の基盤としていること。
➁害虫の定義が節足動物である昆虫であること。
⓷土壌に殺虫剤や除虫剤が散布されていること。
④この昆虫の食性が雑食であること。
この4つ全てを満たしている環境下を想定して説明していきます。)
では、
まず昆虫の体内ついてです。
動物の多くは
食事をするときに
必ず消化管を通して
摂取した栄養を体内へ吸収させます。
しかし、
昆虫、
特に雑食性の多くの昆虫には、
特殊な役割を持つ内臓を持つ場合があります。
それが、
「盲嚢」と呼ばれる臓器です。
この臓器は、
土壌中の細菌を
自分の体内に共生させる入れ物のような
役割をしています。
雑食性の昆虫は、
他の生物や植物だけでなく、
土を餌の一つになることがあるため、
土壌で生活繁殖していた細菌やウイルスは
そういった昆虫の食事を介して
体内に入り
寄生・共生をすることができるのです。
次に土壌に潜む細菌についてです。
土の中には
1000万以上もの種の菌や細菌などの微生物が
生活しています。
(ちなみになんですけど、
世界中にいる細菌や菌のうち、
しっかりとした研究施設を備えていても
しっかり培養・増殖し続けられるのは
全体の僅かの1%未満です。笑)
その中の細菌に限ったことなのですが、
実は、
薬物の成分を土壌中で
分解させる細菌がいることが
わかり始めてきています。
一例として、
プロテオバクテリア門の
バークホルデリア属の仲間の
細菌のほとんどが
殺虫剤の薬物耐性および殺虫剤抵抗性を
示すことが分かっています。
そして最後に殺虫剤と害虫がイタチごっこな理由についてです。
土壌中に
細菌が分布することや昆虫が
その環境で生活するだけなら、
何も問題は起こりません。
しかし、
殺虫や除虫の成分を含んだ薬物を
土壌に散布すると、
その環境で生活していた生物の一部から、
薬物に対する抵抗を持つ
細菌や生物が増え始めてきます。
この増え方の秘密の一つに、
細菌の生態と増殖方法がかかわっています。
(この秘密の詳細を説明しようとすると、置いてけぼりにする可能性があるので次回話します笑)
図:害虫が耐性菌を獲得するまでの流れ(産総研より)
土壌の細菌のうち、
どれが薬物耐性のある菌なのか、
を肉眼で判断するのは
僕らでも判断ができないし、
昆虫ですら判断はできません。
しかし、
雑食性の昆虫は
卵から孵化した状態から手元にあるものを
空腹が満たされるまで食べていきます。
そのため、
口から取り入れているものの
摂取した時期や起源がわからない内に、
無意識のうちに
体内に耐性菌が入ってしまうのです。
そして、
体内で共生し始めると
薬物に耐性を獲得し始めて、
再度殺虫剤や除虫剤を散布した時には
弱りにくくなってしまうのです。
ただ、
これはあくまで害虫が耐性菌と共生して
抵抗性を得られているだけなので、
交配して繁殖して
生まれてくる卵内の幼虫には
耐性を持った細菌は感染・共生していません。
しかし、
一度でも耐性を持った細菌を取り込んだ害虫は、
その個体が死ぬまで増殖を繰り返したり、
植物や生態系に影響を与え続けるのです。
結果、
殺虫剤や除虫剤で
害虫を弱らせたり排除しようとしても
耐性菌を獲得できなかったものだけが排除され、
従来の殺虫剤において
強い効果を発揮する薬剤が現れたとしても
耐性を持つ害虫が現れてしまうのです。
つまり、
自然環境で薬物に耐性を持った菌を
たまたま害虫が獲得して共生させることで、
無意識に害虫に薬物の抵抗力が付与し続ける、
ということなのです。
以上で、
殺虫剤と害虫における雑学は
終わりにしようと思います。
あ、そうだ、
ブログに書き込むタイミング
ミスってるかもなんですけど、、、、、
10月下旬に塾内に
大量発生していたカメムシの
主な要因は急激な温度変化です。
具体的な説明は、
またカメムシが大量発生した時期に
説明しようと思います。
なので、カメムシが大量発生する時期まで楽しみにしておいてくださいwww
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmeja/36/1/36_3/_pdf
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120424/pr20120424.html
https://agrinoki.com/archives/13893
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